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人の苦しみは「心」より生じる(第5回)森安商店・森安政仁 

――心穏やかに過ごすために、日々の生活の中で、どのようなことを心がければよいでしょうか。

 

 自分だけが得をしない。取れる分をひとりで全部取ろうとしない。人間関係の中で互いに助け合いながら、敬い合いながら生きていくことが大切だと思います。家族でもビジネスでも同じことです。

 

 たとえば最近では全国チェーンのスーパーマーケットが増えましたが、小さな商店が生き残れない現状があります。会話をしながら買い物をして、魚や野菜を買えばおいしい食べ方を教えてくれる。少し前までは当たり前だったそういう光景はめずらしいものになりました。

 

 スーパーでも採算を追求して、1円でも安く仕入れたいということになれば、そのために無理をする卸が出ます。誰かの利益が誰かの苦しみになる。その構図はよいものではありません。

 

 長崎と佐賀にチェーン展開する地元密着型のスーパーマーケットの中に、業者にも無理をさせず、お客様に新鮮でよいものをできる限り安く販売するというお店があります。全国チェーンのお店とは比べられませんが、地元では「いいスーパーだ」と喜ばれて人気があり、業績をどんどん伸ばしています。

 

 ビジネスの世界では誰かが得をすれば誰かが損をすると思われがちです。でもそうではありません。みんなで利益を分かち合い、みんなで業績を伸ばしていくことができます。それによってお客様も喜びます。

 

 同業者であっても、ただ競い合うライバルではなく切磋琢磨し合う良きライバルであり、共に助け合う仲間になれます。

 

 自分だけが得をしても、本当によい生活、真の幸せは得られません。一時的には儲かった、得をしたと思っても、人はひとりでは生きていけないのです。

 

 喜びや幸せは分かち合うことで本物になります。光り輝きます。みんながそんなふうに生き、活動していけば、世界のいろいろな問題は解決するのではないでしょうか。

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