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悪意の意識(生霊)をしずめて生きる(第6回)森安商店・森安政仁

――生霊の存在とは?

 

 生霊というとおどろおどろしいかもしれませんが、生きている人の強い念のことです。その念が恨みや妬みなどの悪い想念だった場合、受けた人に悪影響を及ぼすことで生霊という言い方をされます。

 

 生霊はめずらしいものではありません。たとえば、いい念だってあります。大切な人を守りたいという強い気持ちが、誰かの危機的状況を間一髪で救うということもあります。先祖の霊が守ってくれることもありますが、生きている人に守ってもらったこともあるかもしれません。

 

 念のおおもとが生きている人なので、力が強く持続力もあります。悪い想念=生霊に憑かれると大変です。

 

 「源氏物語」の中では、光源氏が愛した夕顔が、元からの愛人であった六条御息所の生霊に祟り殺されるというシーンがあります。男女間の嫉妬などは怨念が渦巻くため、もっとも生霊が発生しやすいものかもしれません。

 

 物語の中で、六条御息所は自分が夕顔を祟り殺したことを知りません。生霊ではよくあることです。

 

 本人はそんな恐ろしいことをしている自覚がない。身分が高く、光源氏より年上の六条御息所は「自分は小娘に嫉妬をするような浅ましい女ではない」と思い込もうとしています。新しい女のところに通いづめで、自分のもとに寄らなくなった光源氏にも、表向きは普段と変わらぬ対応をしています。

 

 そうやって、自分の気持ちを抑えようとして、それでも抑えきれない気持ちが渦巻き、行き所をなくして無意識なまま生霊となります。自分でも気づかないまま、憎むべき対象のところに送られていくのです。

 

 この宇宙を形成するものはエネルギーです。私たちもエネルギー体です。そのエネルギーは、心身の状態や環境など、さまざまな要因によって形を変え、役割を変えます。恨みや妬み、羨望、憎しみなどのエネルギー(念)が形になったものが生霊といえるでしょう。

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