――生きていくうえで気をつけなければいけないことはなんでしょうか?
人生、いきつくところは人間関係です。いいことも悪いことも、重ねるごとに積もり積もっていく。相手がいればなおさらです。自分の知らないところで、恨みや妬みが積み重なっていることもあります。
もちろん、余計な恨みや妬みをかわないにこしたことはありません。自分でできることは、利益や勝ちを独り占めしない。得たものは多くの人に還元するということ。人や社会に貢献するよう心がけることです。
けれど、そうしていても恨まれたり妬まれたりすることはあります。生きていくうえでは、ある程度は仕方のないことです。
大事なのは病気と同じように、早く対処することです。
人を恨んだり羨んだりすることは、恨まれること、妬まれることと表裏一体です。
まずは自分が恨みや妬み、いやなことを水に流すこと。許すことは、なによりも自分を救うことになります。
そして、自分を恨んでいる人、妬んでいる人に対して、毎日心から詫びること。
私は志岐先生に「あなたを恨んでいる人に、心の中で真剣に詫びなさい」といわれたとき、その言葉がすごく腑に落ちました。そして、その日から詫び続けました。
自分が恨んでいるわけでなく、特にトラブルがあったというわけでもないので、具体的には誰がどのように私を恨んでいるのかわかりません。私のためにいやな思いをした人に対して、心の中で詫び続けたのです。
でも、たとえば義妹と仲が悪い電話相談の相談者に「義妹に心の中で詫びなさい」というと「なぜ私が詫びなければならないのですか? 向こうが詫びるのならわかりますが」などといいます。そういう人が多いです。
そういう心から解き放たれることが大切です。自分を救います。
相手に対して悪いことなんてしていない。自分のほうが怒っている。逆恨みをされて迷惑だ。そんな場合でも、心を改め「私のためにいやな気持ちにさせてしまい申し訳ありません」「私のしたことで不利益を及ぼしてしまい申し訳ありません」と心から詫びる。
そういう素直な人は、悩みや不調からたちまち解放されます。普段から毎日そういう声を実際に聞いている私がいうのですから間違いないはずです。