――社長の会社が半世紀ほども続いている理由はなんだと思われますか?
ただひたすら、一生懸命仕事をしてきたことでしょうか。
そして、その中でも関わる方たちと利益をわけあうこと。
一生懸命仕事をするということと、儲ける、他より利益を得ようとすることは別です。
人を泣かしたり、なにかをごまかしたりする会社はすぐに潰れます。一時期は大儲けをしてうまくいっているようでも、あちこちから恨みや妬みを受ければ、必ず状態が悪化します。
また、社内の人間関係、特に上に立つ者同士が不仲であると、これも会社が潰れる原因になります。多くの場合、まず争う者同士が体調を崩し、経営どころではなくなります。そしてやがて経営が傾いて終わりを迎えます。
安定した経営を続けるためには、まず自分の仕事に精一杯務める。そして不要な争いを避け、できるだけ人や社会に奉仕し、日々、反省と感謝を欠かさない。
そういった心がけが必要だと、自分自身や周囲の経営者を見ていて感じます。
安定した経営といっても、もちろん、社会情勢や、人から受けた思わぬ恨み妬みによって、難局を迎えることは多々あります。
経営をしていれば、いえ、これは生きていれば仕方のないことです。
けれど常日頃のように、人を許し人に詫び、天や先祖への感謝を欠かさずにいれば、困難は必ず乗り切れます。
取り返しのつかないことにならないよう、警告をもらった。反省の機会を与えてもらった。そうとらえれば、慌てたり自分を見失ったりすることなしに、自分を見つめ直し、生活や心のありようを見つめ直すことができるはずです。